
本日は、ハワイ調査の重要な一日となる。 目的地は、”ハカラウの森、国立野生生物保護区”。 ハワイ諸島において最高峰、白き頂を冠するマウナ・ケアの東面にこの保護区は位置しており、入園にはあらかじめ許可を必要とする。 予は、この日のために事前から予約をし、門を閉ざす鍵の暗証番号を教えてもらっておいた。 目標は、ハワイの固有種、ハワイミツスイたちである。
さて、熱帯雨林に至るまでは、牧草地が続いておるのだが、ここがまた鳥見にとって穴場である。 アメリカ人たちが狩りを楽しむために放った雉などの狩猟鳥たち(Game birds) があちこちに潜んでいるからである。 雉の仲間をまだあまり見たことのない予にとって、興奮を隠せない場所である。

さて、この広く荒涼とした牧場で、思いもかけぬ者が一番に我らを出迎えてくれた。 コミミズクである。 コミミズクは、世界中に(おそらく)最も広く分布している梟。 このハワイに住む者たちは、他の多くの種と同様に、亜種として独自の系統を持っているらしい。 …しかし、小さな残像は仕方がないにせよ、せめて正面を向いている姿を斬り撮りたかった。

続いて現れたのが、ハワイガン、現地名はネネ。 ネネはハワイの固有種で、火山活動の盛んなハワイ諸島に独特な進化適応を遂げておる。 水鳥ではあっても実際は水辺に暮らさず、このような草地や、溶岩流により改変された土地に現れる。 水辺に住まぬようになったため、雁や鴨にある水かきは退化しておる。
この鳥は、一時、絶滅の危機に追い込まれたが、日本のコウノトリのように、人々による保護と放鳥、それに環境の確保が努力を効し、今ではかなり数も増えておるようだ。 人を恐れておらぬようなので、居るところに行けば誰でも気安く迎えてくれそうである。

前述のような固有種・亜種だけでなく、もちろん家禽どもとも対面がかなった。 左の残像はクロガオシャコ、この牧場で最もよく目にした家禽であり、アジアを原産とする。 他にも、キジやシチメンチョウ、イワシャコ、カンムリウズラなど、かなりの種類と数が道端に現れ、我らを楽しませてくれた。

そして、あちこちに雲雀がおる。 ニシヒバリと呼ばれる彼らは、日本のものとは種が違うヨーロッパの種類である。 あいにくの天気で、空高くさえずる姿は残念ながら拝めなんだ。

こいつで駄目押し、ハワイノスリ、別名イオ! ハワイのような他の世界から隔絶した諸島に、独自の進化を遂げた猛禽がいるというのは、予にとって非常に興味深い。

そんなこんなで、非常に有意義な牧場の探索であったが、本命の熱帯雨林も非常に素晴らしいものであった。 真っ赤な花を樹冠に咲かせるオヒアの木は、ハワイの森に独特な印象を与える。 そしてこの花の蜜やそこに集まる虫を目当てに、様々なハワイ固有の鳥たちが集まる。
森の中であること、そして生憎の雨降りのため、それら花に集まる鳥たちを斬り撮ることは叶わなんだ。 しかし、ハワイミツスイと呼ばれる、独特な形の嘴を持った小鳥達を目にすることが出来たのは、至極満悦であったといえよう。 なお、この森で目撃した者達は、ハワイミツスイ、アカハワイミツスイ、ベニハワイミツスイ、ハワイキバシリ、ハワイツグミである。 それから、メジロもおったな。 メジロは、人間の居住地から原生林まで広く適応しているようである。
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